「無理です」から「やります!」へ。日本舞踊を通じて成長できる

葉月流二代目家元の葉月雛丸です。
神奈川県伊勢原市で日本舞踊と総合行儀作法のお稽古場を開いています。

日本舞踊のお稽古を続けていると、踊りがうまくなるのはもちろん、お弟子さんの人間的な成長に立ち会えることがよくあります。

今日は、そんなエピソードをいくつかお話しします。

教わる側から教える側へ。子どもでも力になってくれる

特に成長がよく見られるのは子どもたちです。
子どもたちの多くは親御さんの言うままに、日本舞踊なんて何も知らないところからお稽古が始まりますが、どんどん覚えていきます。

例えばお稽古場のルールや立ち回り。

入るときは靴を揃える、挨拶をする、着付けをしたり、着物をたたむといったこと。


少し前に入った子どもが、覚えたルールを新しく入った子どもたちに教えている、という光栄はよく目にします。

発表会の本番でも、他の人が脱いで雑然と散らかっていた靴や草履を、きれいに揃えてくれた子がいました。普段稽古場で、みんなの靴と草履がきれいに並んでいるのを見て覚えていたんですね。

自分がそうだった経験を思い出すのか、新しい子に「何か不安なことはない?」と声までかけてくれる子もいます。

幼稚園のお手伝いで成長した小学校6年生

私はいくつかの幼稚園・保育園でも指導をしています。ある幼稚園に指導に行ったとき、当時、小学校6年生だった女の子のお弟子さんに、お手伝いで一緒に来てもらったことがありました。

園児の前で一緒に踊ってもらうお手伝いだったのですが、私は、せっかく幼稚園まで来たのだから、その子にも一度くらい先生らしい経験をしてほしいと思っていました。

お稽古も終わりに差しかかって、園児たちの集中力も切れてきました。思い思いに踊ったり騒がしくなってきたので、私はここだ、と思い、お手伝いの子に

「終わりの挨拶をするために、この子たちを正座で一列に並ばせられる?」

と尋ねました。その子は最初、「無理です」と緊張気味に答えましたが、やがて園児たちにこう声をかけてくれたのです。

「みんな、このまま走りまわっててもいいけどさ、ご挨拶しないと、日本舞踊の時間は終わりになりませんよ。お散歩も行かずに、おやつも食べられずに、ずーっと日本舞踊の時間になるけどいいの?」

このお姉さんのひと言で、園児たちは素直に一列に並んで、終わりのご挨拶ができました。
普段はクールな子で、このようなことを積極的にするタイプではないと思っていましたが、この幼稚園でのお手伝いを通じて、ひとつ成長できたようです。

諦めてもいい。何度でも挑戦すればいい

成長の瞬間を見られるのは子どもだけではありません。大人も同じです。

「松の緑」という曲をお稽古していたお弟子さんは、男性的な体の使い方が求められるこの踊りが苦手で、一度は、「もうできません」と諦めてしまいました。

しかし、その2年後、「松の緑をやります」と自らおっしゃいました。稽古の中でやはり思うように体を動かせない葛藤や、苦心は見られましたが、やり続けようという意思で、時間をかけてついに最後まで踊りきることができました。

「私にも、できました」

お弟子さんのほっとした表情を見て、途中でやめてもいい、諦めないで挑戦することが大事なんだ、と私も強く感じました。

日本舞踊のお稽古では、小さな成功体験をたくさん積み重ねていきます。

挨拶ができるようになった、扇子をきれいに持てた、新しい振りを覚えた、順番通り踊れるようになった…ひとつひとつは些細なことかもしれませんが、その過程で、少しずつレベルが上がっていきます。このお弟子さんも、2年の間に少しずつ成長され、心残りだったの「松の緑」に向き合う自信がついたのかもしれません。

日本舞踊は子どもも大人も成長できます。稽古の中での小さな成功体験や、お稽古場での人との関わり、舞台経験などいろんな経験を通じて、踊りの技術だけではなく、人間的にも成長できるんです。

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葉月流では、日本舞踊と、総合行儀作法(抹茶・煎茶、華道、着付け、食事マナーなどを総合的に学びます)を通じて、豊かな心の和の実現を目指します。一度、体験にいらしてみてください。

体験レッスン概要

料金 3.000円
所要時間 45分~60分
持ち物 浴衣、着物をお持ちでしたらご持参ください
レンタル 浴衣一式レンタル料 1,000円
当日の流れ(目安)
10分 カウンセリング
(教室のご案内、自己紹介、日本舞踊に興味を持ったきっかけなど)
 
30分 お稽古
(着付け(ご希望の方)、挨拶の仕方、基本動作、音に合わせて踊る、美しいしぐさポイントなど)
 
10分 質疑応答・雑談タイム

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